確定給付年金と企業型確定拠出年金の違い

サラリーマンの場合、年金制度は建物に例えると4階建てと言われます。ざ~っくりまとめると

  • 1階が国民年金(基礎年金)
    現役の国民全員(免除や猶予を受けている場合を除いて)が 加入します。厚生年金加入者は同時に国民年金にも加入しています。
  • 2階が厚生年金
    法人の事業所、従業員が5人以上いる個人事業所等にお勤めの方は厚生年金加入者です。
  • 3階が厚生年金基金、確定給付年金、企業型確定拠出年金など
    企業が独自に行う退職金制度です。企業が任意で導入する制度の為、導入していない場合もあります。
  • 4階が個人年金商品など
    個人が独自に運用する年金対象商品。個人型確定拠出型年金(iDeCo)も含まれます。

1階と2階は強制加入の公的年金です。一般的に3階は企業年金、4階は個人年金と呼ばれ、公的年金制度に対して私的年金制度と言われます。

本題の「確定給付年金」と「企業型確定拠出年金」は共に3階に当たる企業年金制度の形態です。 よく似た名称で混同しやすいですが、全く異なる年金制度です。詳細な比較については他のサイトにまかすとして、ここもざ~っくりまとめますと

確定給付年金

確定給付型年金 (確定給付企業年金や確定給付型年金ともいわれます) は、「将来いくら退職金(または年金)がもらえる」という将来の給付額の算定方法があらかじめ定められており、会社は定められた給付を将来払えるように準備していくものです。
つまり給付金が確定している(が毎月の拠出額が確定していない)年金制度ということです。

会社は、会社の全額負担(一部を社員が負担する場合もあります)で 全社員分の掛け金を 毎月積み立て、その掛金を運用することで将来必要となる退職金を準備します。想定通りの利回りで運用できれば問題ありませんが、想定通りの利回りが出ない場合は、その穴埋めをするために、会社は補てんする必要があります。昨今の低金利により、この補てん金額の増加により、会社の経営状態に悪影響を及ぼす場合もあります。

社員にとっては、会社が必要な退職金相当額を準備してくれるので、メリットのある年金制度ともいえます。

但し、後で言う確定拠出年金のように年金資産の管理が個人別管理ではなく制度全体での管理の為、個人資産が不明確な為、最近の働き方の多様化(転職、途中入社など)にはそぐわないというデメリットもあります。

企業型確定拠出年金

企業型確定拠出年金 (企業型年金や確定拠出年金(企業型)ともいわれます) は、「今、いくら掛金を支払うか」という毎月の拠出額の算定方法を定めて、運用の成果に応じた給付を行うものです。つまり拠出(掛金)が確定している(が給付金額は確定していない)年金ということです。

会社は掛金を全額負担(マッチング拠出が認められる場合は。一部社員負担が出来ます。)しますが、その運用方法は社員に委ねられます。会社が用意した複数の運用プランの中から自分にあったプランを選んで社員自らが運用します。うまく運用出来れば想定以上の退職金が準備できますが、上手く運用できなければ想定していた退職金額が下回る場合もあるということです。
会社としては、一定の掛金のみの負担となり想定外の積立補てんがなくなり会社経営が安定しますが、(プラス面もマイナス面も含めて) リスクを社員が直接受けることになります。

また、確定拠出型年金は個人資産が明確に分類されている為、転職や起業した場合、転職先の会社の年金制度への移換や個人型確定拠出年金(iDeCo)への移換などが容易になっています。つまりポータビリティに優れているといえます。