定年退職以降の収支を考えましょう
少子高齢化・就業人口の減少などにより、今後は定年年齢が延長されて高齢者の活躍の場が増えてくると想像できますが、一方で年金制度については給付開始が繰り下げになる可能性も検討されています。まずは現状の定年制度や年金制度に基づいて考えてみましょう。
■退職予定年齢と退職金予想額
退職予定年齢は一般的なサラリーマンの方であれば通常60歳。退職金の金額については、社内規定に計算方法などが明記されているはずですので、一度確認しておきましょう。また人事部門への問い合わせなどでおよその金額は把握できると思います。
■退職後の収入
退職後の収入としては、65歳からの年金支給が柱となります。ここでは実際に年金はどれくらい受け取れるのか。また60歳以降のその他の収入について整理しておきましょう。
まず、公的年金(国民年金・厚生年金)の年金額については、毎年、日本年金機構から年金定期便(ハガキ又は封書)で、これまでの保険料納付累計額や老齢年金の受取金額などの加入状況が送られてきますので、必ず確認しましょう。但し記載されている受取金額について注意点が2点あります。
まず1点目は年金加入者の年齢で記載されている年金額の意味が異なります。50歳未満の場合は、これまでの加入実績による年金額が記載されています。そのため、今後保険料を納めることで、記載されている将来受け取る年金額は増加していきます。それに対して50歳以上の場合は、このまま60歳まで勤め続けた場合の年金見込み額が記載されています。
2点目は年金定期便に記載される年金額に含まれていない公的年金がある場合があります。公的年金はよく3階建てで表されますが、その3階部分に当たる厚生年金基金・確定給付企業年金・確定拠出企業年金など企業年金部分は年金定期便に記載される年金額には含まれていません。この部分の支給額や支給方法(一時払い、確定年金、終身年金)については会社の年金担当部門に確認しましょう。
年金の受取開始年齢と受取期間については、公的年金は受取開始年齢は通常65歳、受取期間は終身。その他の個人年金保険などについては、保険契約証から受取開始年齢と受取期間を確認しておきましょう。
これらの公的年金や企業年金以外に、会社に企業年金制度が無い場合に加入できる個人型確定拠出年金や個人で生命保険会社などで加入している個人年金保険などの受取金額も把握しておきましょう。
■退職後の支出
基本的には、(物価変動率を除けば) 生活水準・家族構成が変わらなければ、現状の支出と大きく変わることはありません。意識的に今後のことを考えて生活費を抑えたいということで低く見積もってしまいがちですが、ここでは老後においても現状の生活水準は落とさない前提で考えましょう。これからの作業(イベント表、キャッシュフロー表)の中で対策が必要となった場合に検討材料の一つとなります。また将来において家族構成の変化(子供の独立、同居者の増減など)による支出の変動も想定されますが、これらについてもライフイベント表に合わせて時系列にキャッシュフロー表の作成時に盛り込んでいくので、ここで意識することはありません。