在職老齢年金とは?2026年改正でどう変わる?仕組みと計算方法を分かりやすく解説

60歳以降も働きながら年金を受け取る人が増えています。

一方で、

  • 働くと年金が減るのでは?
  • どのくらいの収入で年金が止まるのか?
  • 2026年の制度改正で何が変わるのか?

と疑問を持つ人も多いと思います。

そこで重要になるのが「在職老齢年金」です。

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く場合に、給与と年金の合計額に応じて年金の一部が支給停止になる制度です。

ただし、2026年4月からは制度改正により、年金が止まりにくくなります。

この記事では、在職老齢年金の仕組み、計算方法、2026年改正の内容を分かりやすく解説します。

在職老齢年金とは

在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金に加入して働いている場合に、給与と年金額の合計によって老齢厚生年金の一部または全部が支給停止される制度です。

対象になるのは老齢厚生年金のみであり、老齢基礎年金は減額されません。

そのため、働きながら年金を受け取る場合でも、基礎年金部分は原則として全額受給できます。

在職老齢年金の対象者

在職老齢年金の対象になるのは、次の条件を満たす人です。

  • 老齢厚生年金を受給している
  • 厚生年金に加入して働いている
  • 70歳未満、または70歳以上でも厚生年金適用事業所で働いている

パートや短時間勤務でも、勤務時間や収入によって厚生年金加入の対象になれば、在職老齢年金の計算対象になります。

在職老齢年金の計算に使う用語

在職老齢年金では、次の2つの金額を使って判定します。

基本月額

基本月額とは、老齢厚生年金の年額を12で割ったものです。

計算式は次の通りです。

基本月額 = 老齢厚生年金の年額 ÷ 12

※加給年金は含みません。

総報酬月額相当額

総報酬月額相当額とは、毎月の給与に加えて、賞与を月割りした金額を加えたものです。

計算式は次の通りです。

総報酬月額相当額 = 標準報酬月額 + 過去1年間の標準賞与額 ÷ 12

つまり、在職老齢年金では月給だけではなく、ボーナスも含めて判定されます。

2025年度までの在職老齢年金の仕組み

2025年度までは、基本月額と総報酬月額相当額の合計が月51万円を超えると、超えた額の半分が老齢厚生年金から支給停止されます。

計算式は次の通りです。

支給停止額
=(基本月額+総報酬月額相当額-51万円)÷2

合計額が51万円以下であれば、老齢厚生年金は全額支給されます。

計算例1

  • 老齢厚生年金:月10万円
  • 給与:月40万円
  • 賞与:年72万円

この場合、賞与の月換算額は6万円です。

総報酬月額相当額は、

40万円+6万円=46万円

基本月額10万円と合計すると、

46万円+10万円=56万円

51万円を5万円超えるため、

5万円 ÷ 2 = 2万5,000円

が支給停止になります。

つまり、老齢厚生年金10万円のうち2万5,000円が停止され、実際に受け取れる老齢厚生年金は7万5,000円になります。

2026年4月からの法改正

2026年4月からは、在職老齢年金の支給停止基準額が月51万円から月65万円へ引き上げられます。

これにより、給与と年金の合計が65万円以下であれば、老齢厚生年金は減額されず全額支給されます。

2026年4月以降の計算式

支給停止額
=(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2

65万円以下であれば支給停止はありません。

先ほどと同じ例で、

  • 老齢厚生年金:月10万円
  • 給与と賞与換算額:月46万円

の場合、

10万円+46万円=56万円

となり、65万円以下のため、老齢厚生年金は全額支給されます。

2025年度までは月2万5,000円の支給停止でしたが、2026年4月以降は支給停止がなくなるため、年間では30万円多く年金を受け取れることになります。

なぜ改正されるのか

在職老齢年金は、一定以上の収入があると年金が減る仕組みのため、「働くと損をする」と考えて就業時間を抑える人が多いことが課題でした。

特に人手不足が進む中で、高齢者が働き続けやすい環境を整えるため、支給停止基準額の引き上げが行われます。

厚生労働省は、この改正によって働き控えの解消や、高齢者の就労促進を期待しています。

加給年金はどうなる?

加給年金は、老齢厚生年金が一部でも支給されていれば全額支給されます。

一方で、老齢厚生年金が全額停止になる場合は、加給年金も支給停止になります。

なお、老齢基礎年金は在職老齢年金の対象外であり、減額されません。

在職老齢年金を受けている人が退職した場合

在職老齢年金の対象者が退職し、厚生年金から外れると、翌月から年金額が再計算されます。

在職中も厚生年金保険料を支払っているため、その期間分だけ老齢厚生年金が増える場合があります。

また、厚生年金加入期間が20年以上になった場合には、加給年金の対象になることもあります。

在職老齢年金でよくある質問

老齢基礎年金も減額されますか?

減額されません。

在職老齢年金で減額されるのは老齢厚生年金のみです。

手取り額で判定されますか?

いいえ。

税金や社会保険料を差し引く前の給与額や賞与額をもとに判定されます。

70歳を超えると関係なくなりますか?

70歳以上でも、厚生年金適用事業所で働いている場合は、在職老齢年金の対象になることがあります。

まとめ

在職老齢年金は、働きながら老齢厚生年金を受け取る人のための制度です。

2025年度までは、給与と年金の合計が月51万円を超えると、その超過額の半分が支給停止されます。

しかし、2026年4月からは基準額が月65万円に引き上げられるため、多くの人が年金を減らされずに働けるようになります。

60代以降も働く予定がある人は、自分の給与額と年金額を確認し、どのくらい支給停止になるのかを事前に把握しておくことが大切です。