退職金1,000万円とDC300万円はいつ受け取るべき?60歳・63歳・65歳で税金比較

退職金と企業型DCを一時金で受け取る場合、受け取り時期によって税金が変わることがあります。

特に、

  • 60歳で退職金とDCを同時に受け取る
  • 60歳で退職金を受け取り、63歳でDCを受け取る
  • 60歳でDCを受け取り、65歳で退職金を受け取る

という3つのパターンは、実際のサラリーマンでもよくあるケースです。

今回は、

  • 勤続30年
  • 退職金1,000万円
  • 企業型DC300万円

という条件で、どの受け取り方が有利かを比較します。

前提条件

今回の前提条件は以下の通りです。

  • 勤続年数:30年
  • 退職金:1,000万円
  • 企業型DC:300万円
  • DC加入期間:10年(勤続年数と全期間重複)
  • 受け取り方法:すべて一時金
  • 退職時期:60歳または65歳

退職所得控除は、勤続30年の場合、

800万円 + 70万円 ×(30年-20年)=1,500万円

です。

また、DC加入期間10年の退職所得控除は、

40万円 × 10年 = 400万円

です。

パターン1:60歳で退職金1,000万円とDC300万円を同時受取

まずは、退職金とDCを同じ年にまとめて受け取るケースです。

受取総額は、

  • 退職金1,000万円
  • DC300万円
  • 合計1,300万円

です。

勤続30年の退職所得控除は1,500万円あるため、1,300万円は控除枠の範囲内に収まります。

そのため、課税退職所得は0円となり、所得税・住民税はかかりません。

結果

  • 税額:0円
  • 手取り:約1,300万円

パターン2:60歳で退職金1,000万円、63歳でDC300万円を受取

次に、60歳で退職金を受け取り、3年後の63歳でDCを受け取るケースです。

この場合、退職金1,000万円は勤続30年の退職所得控除1,500万円の範囲内なので、税金はかかりません。

ただし、退職金受取から3年後にDCを一時金で受け取る場合、19年ルールの影響があります。

退職金を先に受け取った場合、19年以内に受け取るDCは、前回の退職金と勤続期間が重複していると退職所得控除が調整されます。

今回のケースでは、退職金1,000万円に対して退職所得控除1,500万円を使っているため、控除枠は500万円余っています。

DC300万円は、その残りの控除枠500万円以内に収まるため、DC側にも税金はかかりません。

結果

  • 退職金の税額:0円
  • DCの税額:0円
  • 合計税額:0円
  • 手取り:約1,300万円

パターン3:60歳でDC300万円、65歳で退職金1,000万円を受取

最後は、60歳でDCを先に受け取り、65歳で退職金を受け取るケースです。

DC300万円については、加入期間10年の退職所得控除400万円以内なので税金はかかりません。

その後、65歳で退職金1,000万円を受け取ります。

2025年までは、DCを先に受け取ってから5年以上空ければ、退職所得控除を別枠で使いやすい仕組みでした。

そのため、2025年までの制度では、65歳で受け取る退職金1,000万円も、勤続30年の退職所得控除1,500万円の範囲内に収まり、税金はかかりません。

結果(2025年まで)

  • DCの税額:0円
  • 退職金の税額:0円
  • 合計税額:0円
  • 手取り:約1,300万円

このケースではどの受け取り方でも税金は0円

今回のケースでは、

  • 退職金1,000万円
  • DC300万円
  • 合計1,300万円

であり、勤続30年の退職所得控除1,500万円以内に収まっています。

そのため、

  • 同時受取
  • 退職金→DC
  • DC→退職金

のどの受け取り方でも、基本的に税金はかかりません。

ただし、これは退職金1,000万円という比較的小さいケースだからです。

退職金が2,000万円を超えると、退職所得控除を超える可能性が高くなり、受け取り順番によって税金差が出やすくなります。

また、2026年以降は9年ルールにより、DC→退職金の間隔が5年では足りなくなるため、65歳受取でも控除調整が入る可能性があります。

それでも60歳でDCを先に受け取るメリットはある?

退職金1,000万円のケースでは税額差は出ませんが、60歳でDCを先に受け取るメリットはあります。

例えば、

  • 60歳から使える老後資金を増やせる
  • 65歳まで運用を続けずに済む
  • 退職金受取時の資金計画を立てやすい

という点です。

一方で、2026年以降はDC→退職金の間隔が10年必要になるため、今後は60歳でDCを一時金で受け取る戦略が使いにくくなる可能性があります。

まとめ

退職金1,000万円とDC300万円のケースでは、どの受け取り方でも退職所得控除内に収まるため、税金はかかりません。

ただし、2026年以降はDC→退職金のルールが厳しくなり、5年空けるだけでは足りなくなります。

将来的に退職金額が大きい人や、DC残高が多い人は、受け取り順番を事前に考えておくことが重要です。