退職金2,000万円とDC300万円はどの受け取り方が得?税額を比較

退職金が2,000万円を超えると、退職所得控除を超える可能性が高くなります。

そのため、企業型DCやiDeCoを一時金で受け取る場合は、

  • 同時に受け取る
  • 退職金を先に受け取る
  • DCを先に受け取る

のどれを選ぶかによって、税額差が出ることがあります。

今回は、

  • 勤続30年
  • 退職金2,000万円
  • 企業型DC300万円

という条件で、どの受け取り方が有利かを比較します。

前提条件

今回の前提条件は以下の通りです。

  • 勤続年数:30年
  • 退職金:2,000万円
  • 企業型DC:300万円
  • DC加入期間:10年(勤続年数と全期間重複)
  • 受け取り方法:すべて一時金

勤続30年の退職所得控除は、

800万円 + 70万円 ×(30年-20年)=1,500万円

です。

また、DC加入期間10年の退職所得控除は、

40万円 × 10年 = 400万円

です。

パターン1:60歳で退職金2,000万円とDC300万円を同時受取

まずは、退職金とDCを同じ年にまとめて受け取るケースです。

受取総額は、

  • 退職金2,000万円
  • DC300万円
  • 合計2,300万円

です。

退職所得控除は1,500万円なので、

2,300万円-1,500万円=800万円

が控除後の金額になります。

退職所得は控除後金額の2分の1なので、

800万円 ÷ 2 = 400万円

が課税対象です。

退職所得400万円に対する所得税・住民税は、おおよそ60万円前後になります。

結果

  • 課税退職所得:約400万円
  • 税額:約60万円
  • 手取り:約2,240万円

パターン2:60歳で退職金2,000万円、63歳でDC300万円を受取

次に、60歳で退職金を受け取り、63歳でDCを受け取るケースです。

退職金2,000万円に対して、勤続30年の退職所得控除1,500万円を使うと、

2,000万円-1,500万円=500万円

退職所得は、

500万円 ÷ 2 = 250万円

です。

退職所得250万円に対する税額は、おおよそ40万円前後です。

次に、63歳でDC300万円を受け取ります。

しかし、退職金を先に受け取ってから3年後にDCを受け取る場合は、19年ルールの対象になります。

今回のケースでは、退職金で1,500万円の退職所得控除を使い切っているため、DC側では使える控除がかなり少なくなります。

ただし、DC300万円はそれほど大きな金額ではないため、課税額は比較的少額です。

仮にDC側の退職所得控除が80万円程度しか残らない場合、

300万円-80万円=220万円

退職所得は、

220万円 ÷ 2 = 110万円

です。

この場合、DC側の税額は10万円前後になります。

結果

  • 退職金の税額:約35万円
  • DCの税額:約10万円
  • 合計税額:約45万円
  • 手取り:約2,255万円

このケースでは、同時受取よりも税額が少なくなります。

パターン3:60歳でDC300万円、65歳で退職金2,000万円を受取

最後は、60歳でDCを先に受け取り、65歳で退職金を受け取るケースです。

まず、DC300万円は加入期間10年の退職所得控除400万円以内なので、税金はかかりません。

次に、65歳で退職金2,000万円を受け取ります。

2025年までの制度では、DC受取から5年以上空いていれば、退職所得控除をほぼ満額使えるケースがあります。

そのため、

2,000万円-1,500万円=500万円

退職所得は250万円となり、税額は35万円前後です。

結果(2025年まで)

  • DCの税額:0円
  • 退職金の税額:約35万円
  • 合計税額:約35万円
  • 手取り:約2,265万円

この3パターンの中では、最も税額が少なくなります。

2026年以降はどう変わる?

2026年1月以降は、DCを先に受け取り、その後に退職金を受け取る場合の調整期間が5年から10年に延長されます。

つまり、

  • 60歳でDC受取
  • 65歳で退職金受取

というケースでは、従来のように退職所得控除を別枠で使いにくくなります。

今回のケースでは、DC加入期間10年分のうち、会社勤続期間と重複している10年分が退職金側の退職所得控除から差し引かれる可能性があります。

その場合、退職金側の退職所得控除は、

1,500万円-400万円=1,100万円

になります。

すると、

2,000万円-1,100万円=900万円

退職所得は、

900万円 ÷ 2 = 450万円

です。

退職所得450万円に対する税額は、おおよそ70万円前後になります。

つまり、2026年以降は、60歳DC→65歳退職金のパターンが最も不利になる可能性があります。

どの受け取り方が有利か

今回の条件では、2025年までであれば、

  1. DC→退職金
  2. 退職金→DC
  3. 同時受取

の順で有利です。

ただし、2026年以降は9年ルールの影響で、DC→退職金のメリットが小さくなります。

そのため、今後は、

  • DCを年金形式で受け取る
  • 退職金とDCを同時受取する
  • 退職金を先に受け取る

という選択肢も検討した方がよくなります。

まとめ

退職金2,000万円とDC300万円のケースでは、受け取り順番によって税額差が出ます。

2025年までなら、60歳でDCを受け取り、65歳で退職金を受け取る方法が最も有利になる可能性があります。

しかし、2026年以降は9年ルールにより、5年空けるだけでは足りなくなります。

退職金やDCの金額が大きい人ほど、受け取り順番による差が大きくなるため、早めにシミュレーションしておくことが大切です。