退職金の受取戦略|税金を減らすための3つのポイント

退職金は、サラリーマンにとって人生の中でも最大級の資金になることがあります。
勤続年数が長い場合には、退職金が 1000万円〜3000万円以上 になるケースも珍しくありません。

そのため多くの人が気になるのが

  • 退職金にはどれくらい税金がかかるのか
  • 税金を減らす方法はあるのか
  • 受け取り方によって税額は変わるのか

という点です。

結論から言うと、退職金は税制上非常に優遇されていますが、受け取り方によって税額が変わる可能性があります。

特に次の3つのポイントが重要になります。

①退職所得控除
②受け取りタイミング
③年金制度との関係

この記事では、退職金の税金をできるだけ抑えるための 受取戦略 を分かりやすく解説します。


退職金は税制上優遇されている

まず前提として、退職金は給与とは異なる 退職所得 として扱われます。

退職所得には次の税制優遇があります。

  • 退職所得控除
  • 2分の1課税
  • 分離課税

この仕組みにより、退職金の税金は給与所得より大幅に軽くなります。

退職金の税額は次の手順で計算します。

①退職金の総額を確認
②退職所得控除を差し引く
③残った金額の2分の1を課税所得とする
④所得税・住民税を計算

この制度のおかげで、退職金の税負担は比較的少なくなるのです。


ポイント① 退職所得控除を理解する

退職金の税金で最も重要なのが 退職所得控除 です。

退職所得控除は勤続年数によって決まります。

勤続20年以下

40万円 × 勤続年数
(最低80万円)

勤続20年超

800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

例えば勤続35年の場合

800万円

70万円 × 15年

1,850万円

つまり、退職金が1,850万円までであれば原則として所得税はほとんどかかりません。

退職金の税金を考えるうえで、まず自分の 退職所得控除額 を確認することが重要です。


ポイント② 受け取りタイミングを考える

退職金の税額は、受け取りタイミングによって変わることがあります。

特に次のようなケースです。

  • 転職して複数回退職金を受け取る
  • 退職金と企業年金を同時に受け取る

このような場合、退職所得控除の扱いが変わることがあります。

例えば税制には次のような調整ルールがあります。

  • 5年ルール
  • 10年ルール
  • 20年ルール

これらは 退職所得控除の重複利用を防ぐ仕組み です。

短期間に複数の退職所得を受け取ると、控除が通算される可能性があります。

そのため

受け取りタイミングを分けることで税額が変わるケース

もあります。


ポイント③ 年金制度との関係を考える

最近は退職金だけでなく、次のような制度を利用している人も増えています。

  • 企業型確定拠出年金(DC)
  • 確定給付企業年金(DB)
  • iDeCo

これらの制度は、一時金で受け取る場合

退職所得

として扱われることがあります。

つまり

退職金

企業年金

という形で受け取ると、退職所得控除の扱いが変わる可能性があります。

例えば

退職金
2,000万円

DC一時金
600万円

の場合

同時受取では

2,600万円 − 控除

という計算になります。

しかし受取タイミングを調整することで、税額が変わる可能性があります。


退職金の受け取りでよくあるケース

ここで実際によくあるケースを見てみましょう。

ケース

退職金
2,000万円

勤続年数
35年

退職所得控除
1,850万円

控除後

150万円

2分の1課税

75万円

この場合、税額は

約10万円程度

になります。

このように、退職金の税負担は比較的軽いケースが多いと言えます。


退職金で注意するポイント

退職金の税金で注意するポイントは次の3つです。


退職所得の申告書

退職時には

退職所得の受給に関する申告書

を会社に提出します。

提出していない場合

20.42%

の税率で源泉徴収されるため注意が必要です。


企業年金の一時金

次の制度は退職所得になることがあります。

  • 企業型DC
  • 確定給付企業年金
  • iDeCo

退職金と同時に受け取る場合、税額に影響することがあります。


受け取り後は変更できない

退職金は一度受け取ると、後から受け取り方を変更することはできません。

そのため、退職前に税制を理解しておくことが重要です。


まとめ

退職金の受取戦略のポイントを整理すると次の通りです。

  • 退職金には退職所得控除という大きな非課税枠がある
  • 受け取りタイミングによって税額が変わる場合がある
  • 企業年金との関係にも注意が必要
  • 退職前に税制を理解しておくことが重要

退職金は人生の中でも最大級の資金になることが多く、税制の理解は非常に重要です。

特に最近は

  • 退職金
  • 企業型DC
  • iDeCo

など複数の制度を組み合わせるケースも増えています。

そのため、退職金の受け取り方は 老後資金の全体設計の中で考えること が大切になります。