旧NISAは新NISAへロールオーバーできない?非課税期間終了後の扱いと対処方法
旧一般NISAで購入した株式や投資信託を、そのまま保有していませんか。
以前の一般NISAでは、5年間の非課税期間が終了した後、翌年の一般NISAの非課税枠へ商品を移す「ロールオーバー」という仕組みがありました。
そのため、以前からNISAを利用していた方の中には、
「非課税期間が終わっても、そのままNISAで持ち続けられるのでは?」
「旧NISAの商品は新NISAへ移せるのでは?」
「特に何も手続きしなくても大丈夫だろう」
と思っている方もいるかもしれません。
しかし、2024年から新NISAが始まり、旧一般NISAで保有している商品を新NISAへロールオーバーすることはできません。
非課税期間が終了した商品は、自動的に売却されるわけではなく、特定口座などの課税口座へ移管されます。
そして、このとき注意したいのが「取得価額」です。
例えば、旧一般NISAで100万円で購入した商品が70万円まで値下がりした状態で課税口座へ移り、その後100万円まで回復して売却した場合、課税口座では30万円の利益が出たことになります。
この記事では、旧一般NISAの非課税期間が終了するとどうなるのか、税金はどのように計算されるのか、そして非課税期間終了前後にどのような対応を考えればよいのかを具体例を使って説明します。
旧一般NISAをそのままにしていませんか?
2024年から新NISAが始まりましたが、2023年までの旧一般NISAで購入した商品については、非課税期間が終了するまでは旧制度の非課税措置がそのまま適用されます。
一般NISAの非課税期間は、購入した年から5年間です。
したがって、2022年に一般NISAで購入した商品であれば、
2022年
2023年
2024年
2025年
2026年
の5年間が非課税期間となります。
2026年現在、特に確認しておきたいのが2022年に一般NISAで購入した商品です。
2022年購入分は2026年末で非課税期間が終了します。
旧一般NISAの商品をまだ保有している方は、まず証券会社の口座画面などで「何年に購入した商品なのか」を確認してみましょう。
金融庁も、2023年までのNISAで購入した商品については、新NISAの外枠で旧制度の非課税措置が適用されると説明しています。
旧一般NISAの非課税期間は5年間
旧一般NISAでは、株式や投資信託などを購入すると、購入した年から最長5年間、配当や分配金、売却益などについて非課税措置を受けることができました。
例えば、2022年に100万円で購入した商品が、2026年に150万円になっていたとします。
非課税期間中に売却すれば、
150万円-100万円=50万円
の売却益が生じますが、一般NISAの非課税期間内であれば、この売却益は非課税です。
問題は、その5年間が終わった後です。
以前の一般NISAではロールオーバーができた
以前の一般NISAでは、5年間の非課税期間が終了したときに、一定の手続きをすることで、保有している商品を翌年の一般NISAの非課税枠へ移すことができました。
これを「ロールオーバー」といいます。
そのため、以前から一般NISAを利用していた方ほど、
「5年経ったら次のNISA枠へ移せばいい」
という認識を持っているかもしれません。
しかし、2024年から新しいNISA制度へ変更されたことで、この取扱いも変わっています。
旧NISAから新NISAへロールオーバーはできない
2023年までの一般NISAで購入した商品を、2024年から始まった新NISAへ直接移すことはできません。
旧一般NISAと新NISAは別枠として扱われます。
つまり、
旧一般NISA → 新NISA
という形で商品をそのまま移すことはできません。
旧一般NISAで購入した商品は、その商品の非課税期間が終了するまでは旧NISAで保有できます。
しかし、非課税期間終了後は、新NISAではなく課税口座へ払い出されます。
金融庁も、旧NISAから新NISAへのロールオーバーはできないことを明示しています。
非課税期間が終わるとどうなる?
旧一般NISAの商品を売却せずに非課税期間終了を迎えた場合、
「商品が自動的に売却されるのでは?」
と思う方もいるかもしれません。
商品が自動的に売却されるわけではありません。
非課税期間が終了すると、保有している商品は特定口座や一般口座などの課税口座へ払い出されます。
そして、課税口座へ移った後も、その商品を保有し続けることができます。
つまり、
旧一般NISAで保有
↓
5年間の非課税期間終了
↓
課税口座へ移管
↓
そのまま保有することも可能
という流れです。
ただし、課税口座へ移った後に発生する配当等や売却益については、原則として課税対象となります。
特定口座へ移ると取得価額はどうなる?
ここが今回の記事で特に知っておいてほしいポイントです。
旧一般NISAから特定口座などへ商品が移った場合、最初に旧NISAで購入した金額がそのまま取得価額として引き継がれるわけではありません。
原則として、課税口座へ払い出された時点の時価が、その後の取得価額になります。
国税庁も、NISA口座から特定口座や一般口座へ移管した上場株式等について、移管時の価額を基に取得価額を扱うことを説明しています。
具体例で確認してみましょう。
値上がりして移管された場合を具体例で確認
まず、値上がりしたケースです。
旧一般NISAで、
100万円
で商品を購入したとします。
その後値上がりし、非課税期間終了時には150万円になっていました。
そのまま課税口座へ移管され、その後170万円で売却したとします。
流れは次のようになります。
100万円で購入
↓
150万円で課税口座へ移管
↓
170万円で売却
課税口座での取得価額は150万円です。
したがって、課税口座での利益は、
170万円-150万円=20万円
となります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 旧NISAで購入 | 100万円 |
| 非課税期間終了時 | 150万円 |
| 課税口座での取得価額 | 150万円 |
| その後の売却価格 | 170万円 |
| 課税口座での利益 | 20万円 |
ここで重要なのは、旧NISAで保有していた期間の、
100万円 → 150万円
という50万円の値上がり益に、後から課税されるわけではないということです。
課税対象となるのは、課税口座へ移った後の150万円から170万円までの20万円です。
値下がりして移管された場合には注意
反対に、少し分かりにくいのが値下がりしているケースです。
旧一般NISAで100万円の商品を購入したものの、非課税期間終了時には70万円まで値下がりしていたとします。
その後、70万円で課税口座へ移管され、しばらく保有しているうちに100万円まで回復したので売却しました。
100万円で購入
↓
70万円で課税口座へ移管
↓
100万円まで回復して売却
本人の感覚では、
「100万円で買って100万円で売ったのだから、利益は出ていない」
と思うかもしれません。
しかし、課税口座では70万円が取得価額となります。
したがって、
100万円-70万円=30万円
が課税口座上の利益となります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 旧NISAで購入 | 100万円 |
| 非課税期間終了時 | 70万円 |
| 課税口座での取得価額 | 70万円 |
| その後の売却価格 | 100万円 |
| 課税口座での利益 | 30万円 |
ここは旧NISAを利用していた方が誤解しやすいところです。
「購入価格まで戻っただけなのに、なぜ利益になるの?」
と思うかもしれません。
税金を計算するときには、旧NISAで購入した100万円ではなく、課税口座へ移ったときの70万円から、その後どれだけ値上がりしたかを見るからです。
旧NISAの商品が値下がりした状態で非課税期間終了を迎えそうな場合は、この仕組みを知ったうえで対応を考えることが大切です。
非課税期間終了前に考えたい2つの選択肢
では、旧一般NISAの非課税期間終了が近づいてきたら、どうすればよいのでしょうか。
非課税期間が終了する前の段階では、大きく2つの選択肢があります。
1.非課税期間中に売却する
一つ目は、非課税期間が終了する前に売却する方法です。
旧一般NISAの非課税期間中であれば、売却益については非課税措置を受けることができます。
例えば、100万円で購入した商品が150万円になっている状態で売却すれば、50万円の売却益は非課税です。
ただし、
「非課税期間が終わるから、とにかく売る」
と考える必要はありません。
今後もその商品を保有したいのか、現在の資産配分に合っているのかなども含めて判断することが大切です。
2.非課税期間終了まで保有し、課税口座へ移管する
もう一つは、非課税期間終了まで旧一般NISAで保有する方法です。
期限を迎えれば、その商品は課税口座へ移管されます。
商品そのものが売却されるわけではないので、
「今後もこの商品を長期保有したい」
という場合には、そのまま課税口座へ移すという考え方もあります。
ただし、先ほど説明したように、移管時の時価が課税口座での取得価額になる点には注意しましょう。
特に購入価格より値下がりした状態で移管される場合は、その後値段が回復しただけでも課税口座上では利益が発生することがあります。
課税口座へ移った後はどうする?
非課税期間が終了して課税口座へ移った後にも、選択肢があります。
そのまま商品を保有し続けても構いませんし、その後売却することもできます。
また、
「今後もこの商品をNISAで保有したい」
という場合には、新NISAで改めて購入することを検討する方法もあります。
ここで整理すると、
非課税期間終了前
売却する
または
期限まで保有する
↓
期限まで保有した場合
課税口座へ移管
↓
課税口座へ移管後
そのまま保有する
または
売却する
という時間の流れになります。
このように考えると、「旧NISAで保有すること」と「課税口座で保有すること」の違いも分かりやすいと思います。
新NISAで買い直す場合の注意点
旧一般NISAの商品を新NISAでも引き続き保有したい場合、
旧NISAから新NISAへ直接移すことはできません。
そのため、
旧NISAの商品を売却
↓
新NISAの投資枠を使って改めて購入
という方法を検討することになります。
ただし、これは「ロールオーバー」ではありません。
新NISAでの新しい買付けです。
そのため、
・その商品が新NISAの対象商品なのか
・年間投資枠が残っているか
・新NISAの非課税保有限度額に余裕があるか
・その商品に新NISAの枠を使うべきか
・売買にかかるコストはどうか
などを確認する必要があります。
新NISAでは年間投資枠が、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円で、非課税保有限度額は合計1,800万円です。このうち成長投資枠は1,200万円が上限です。
「新NISAで買い直せばよい」と単純には考えない
ここは50代の方には特に考えてほしいポイントです。
旧一般NISAで購入した商品を、
「非課税期間が終わるから、新NISAでそのまま買い直そう」
と機械的に判断する必要はありません。
旧一般NISAで購入してから数年が経っています。
その間に、
・年齢
・収入
・金融資産額
・退職予定時期
・住宅ローン残高
・必要な老後資金
などが変わっているかもしれません。
数年前には自分に合っていた商品でも、現在の資産配分ではリスクが大きすぎることもあります。
反対に、今後も長期保有したい商品なら、新NISAで保有する意味があるかもしれません。
大切なのは、
「旧NISAの期限が来たからどうするか」ではなく、「今、この商品を自分の金融資産の中で持ち続ける必要があるか」
という視点で考えることです。
自分の旧NISAはいつ非課税期間が終了する?
旧一般NISAの商品を現在も保有している方は、購入年を確認してみましょう。
| 購入年 | 非課税期間終了 |
|---|---|
| 2019年 | 2023年末 |
| 2020年 | 2024年末 |
| 2021年 | 2025年末 |
| 2022年 | 2026年末 |
| 2023年 | 2027年末 |
2026年現在、2022年に一般NISAで購入した商品を保有している方は、2026年末が非課税期間終了のタイミングです。
2023年購入分については2027年末まで非課税期間が続きます。
証券会社の口座画面などで、
「旧一般NISAの商品を現在も持っているか」
「何年に購入した商品なのか」
を一度確認してみることをおすすめします。
50代は旧NISAだけでなく資産全体で考えよう
50代になると、投資について「増やす」だけでなく、「これからどう使うか」という視点も重要になってきます。
例えば、
・旧NISA
・新NISA
・iDeCo
・企業型DC
・預貯金
・退職金
などを別々に管理している方も多いと思います。
しかし、老後の生活という視点で考えれば、いずれも大切な金融資産です。
旧NISAの非課税期間終了は、
「売るか、持ち続けるか」
だけを考えるのではなく、
これからの資産配分を見直すタイミング
と考えることもできます。
例えば、
「退職まであと何年あるのか」
「いつから金融資産を取り崩すのか」
「退職金はいくら受け取れるのか」
「年金だけで生活費を賄えるのか」
なども一緒に考えることで、新NISAをどのように使うべきかも見えやすくなります。
当サイトの「キャッシュフロー表作成講座」では、預貯金や退職金、年金なども含めて、将来の金融資産残高を確認する方法を紹介しています。
旧NISAの対応を考えるときにも、「その商品だけ」ではなく金融資産全体を見るようにしてみましょう。
まとめ
旧一般NISAは、購入した年から5年間が非課税期間です。
そして、旧一般NISAの商品を2024年から始まった新NISAへ直接ロールオーバーすることはできません。
非課税期間終了前には、
1.非課税期間中に売却する
2.非課税期間終了まで保有し、課税口座へ移管する
という大きく2つの選択肢があります。
課税口座へ移った後は、そのまま保有することも、売却することもできます。
また、必要であれば旧NISAの商品を売却して、新NISAの投資枠を使って改めて購入することを検討する方法もあります。
特に注意したいのが、課税口座へ移ったときの取得価額です。
例えば、
100万円で購入
↓
70万円で課税口座へ移管
↓
100万円で売却
というケースでは、元の購入価格まで戻っただけのように見えても、
100万円-70万円=30万円
が課税口座上の利益になります。
2026年現在、2022年に一般NISAで購入した商品は2026年末で非課税期間が終了します。
該当する方は、まず現在保有している商品と購入年を確認してみましょう。
そのうえで、
「非課税期間が終わるから売る」
「新NISAで買い直せば得」
と単純に考えるのではなく、その商品をこれからも保有したいのか、新NISAの非課税枠を何に使いたいのかを考えることが大切です。
50代では、旧NISAだけでなく、新NISA、iDeCo、企業型DC、預貯金、退職金などを含め、老後に向けた金融資産全体の中で判断するようにしましょう。
主な参考資料
金融庁「2023年までのNISA」
金融庁「NISA(新制度)と一般NISA・つみたてNISA(旧制度)との関係」
国税庁「NISA制度」
国税庁「譲渡した株式等の取得費」

