第8回 キャッシュフロー表の住宅ローンを入力しよう

前回は、現在の生活費や保険料などの支出をキャッシュフロー表に入力しました。

今回は、住宅ローンを返済している方が「住宅ローンの返済額」を入力していきます。

50代になると、住宅ローンについて気になることも増えてきます。

「定年までに完済できるだろうか」

「退職後も住宅ローンが残るけれど大丈夫だろうか」

「金利が上がったら返済額はどうなるのだろう」

「退職金で繰上返済した方がいいのだろうか」

こうしたことを考えるためにも、まずは現在の住宅ローンをキャッシュフロー表へ正しく反映することが大切です。

ただし、この段階では住宅ローンの見直しは行いません。

今はまだ「現状把握」の段階です。

まずは現在の返済計画をそのままキャッシュフロー表に入力していきましょう。

今回入力するのは「住宅ローンの年間返済額」

住宅ローンを組んでいる方には、金融機関から「返済予定表」や「返済計画表」などが発行されていると思います。

名称は金融機関によって異なりますが、返済予定表を見ると、

・毎月の返済額
・ボーナス返済額
・元金返済額
・利息額
・住宅ローン残高
・返済終了予定日

などを確認できます。

今回のキャッシュフロー表作成で特に必要なのは、

「1年間に住宅ローンをいくら返済するのか」

という年間返済額です。

住宅ローンの年間返済額を確認しよう

例えば、毎月の住宅ローン返済額が10万円の場合、

10万円 × 12か月 = 120万円

となります。

したがって、年間返済額は120万円です。

ボーナス返済がある場合は、その金額も加えます。

例えば、

毎月返済額 10万円
年間のボーナス返済額 40万円

なら、

10万円 × 12か月 + 40万円 = 160万円

となり、年間返済額は160万円です。

返済予定表に年間の返済額が分かるように記載されている場合は、その数字を使えば大丈夫です。

キャッシュフロー表へ入力しよう

年間返済額が確認できたら、キャッシュフロー表の住宅ローン欄へ入力します。

例えば、年間返済額が120万円で、65歳まで同じ金額を返済する予定なら、

現在から65歳までの各年に120万円を入力します。

これで住宅ローン返済がキャッシュフロー表に反映されます。

今回の目的は、現在の住宅ローン返済計画をそのまま将来の家計に反映することです。

返済額が途中で変わる場合はどうする?

住宅ローンによっては、将来の返済額が現在と同じとは限りません。

例えば、

・固定金利期間が終了する
・段階金利になっている
・すでに返済額の変更が決まっている
・ボーナス返済額が変わる

といったケースがあります。

返済予定表で将来の返済額が分かっている場合は、その金額に合わせて各年の住宅ローン返済額を入力してください。

一方、将来の金利がどうなるか分からない変動金利の場合は、まず現在の返済条件を基準に入力しておきます。

金利が上昇した場合のシミュレーションは、キャッシュフロー表が完成してから行います。

完済する年も確認しておこう

住宅ローンを入力するときに、もう一つ確認してほしいのが「完済予定年」です。

例えば現在55歳で、返済予定表を見ると75歳で完済する予定だったとします。

すると、

55歳 → 現在
60歳 → 定年
65歳 → 年金生活
75歳 → 住宅ローン完済

という流れになります。

この場合、定年後も住宅ローン返済が続くことになります。

ここで、

「75歳まで住宅ローンが残るのはまずいから、すぐに繰上返済しよう」

と判断する必要はありません。

今は、

「自分の住宅ローンは何歳まで続くのか」

を確認できれば十分です。

住宅ローンをどうするかは、キャッシュフロー表全体が完成してから考えます。

退職時の住宅ローン残高も確認しておこう

50代の方には、もう一つ確認してほしい数字があります。

それが、

「退職するときに住宅ローンがいくら残っているのか」

です。

例えば、

現在55歳
住宅ローン残高 2,000万円
60歳退職時の残高 1,500万円
75歳完済予定

だったとします。

この段階では、

「1,500万円も残るから危険」

と判断する必要はありません。

なぜなら、住宅ローンだけでは家計の安全性を判断できないからです。

例えば60歳時点で、

・退職金はいくらあるのか
・預貯金はいくらあるのか
・企業型DCやiDeCoはいくらあるのか
・65歳以降の年金はいくらなのか
・老後の生活費はいくらなのか

によって状況は大きく変わります。

だからこそ、キャッシュフロー表を完成させる意味があります。

変動金利の場合はどうする?

変動金利で住宅ローンを借りている方は、

「今後金利が上がった場合はどう入力すればいいの?」

と思うかもしれません。

もちろん、これは重要な問題です。

ただし、今回の段階では金利上昇を予測して入力する必要はありません。

まずは現在の金利・返済額を基準として入力します。

そのうえでキャッシュフロー表が完成した後に、

「金利が1%上昇したら」

「金利が2%上昇したら」

といった条件に変更して比較します。

これをシミュレーションといいます。

現在の状態を表したキャッシュフロー表を「基準」として持っておくことで、条件を変えた場合に家計がどの程度変化するのか比較できるようになります。

繰上返済や借り換えは、まだ考えなくて大丈夫

50代で住宅ローンが残っていると、

「退職金で繰上返済した方がいいのでは?」

「金利が上がる前に固定金利へ変更した方がいいのでは?」

「住宅ローンを借り換えた方がいいのでは?」

と考えるかもしれません。

ただし、今の段階では結論を出しません。

繰上返済をすれば住宅ローン残高は減りますが、その分、手元の金融資産も減ります。

借り換えには諸費用もかかります。

固定金利と変動金利のどちらがよいかも、残高や残存期間、家計の余裕などによって変わります。

つまり、

住宅ローンだけを見て判断することはできません。

退職金、年金、預貯金、老後生活費などをすべてキャッシュフロー表へ入力してから検討します。

今回は「住宅ローンの良し悪し」を判断しない

ここは、この講座で大切にしたいポイントです。

キャッシュフロー表を作っている途中で、

「住宅ローンが多すぎる」

「教育費を減らした方がいい」

「もっと貯金しなければ」

などと判断し始めると、現在の家計と改善後の家計が混ざってしまいます。

まずは、

現在の状態をそのままキャッシュフロー表にする。

これが最初の目標です。

住宅ローンに問題があるかどうかは、表が完成してから分析します。

今回確認しておきたい項目

住宅ローンを返済している方は、次の内容を確認しておきましょう。

・現在の住宅ローン残高
・現在の金利
・毎月の返済額
・ボーナス返済額
・年間返済額
・完済予定年月
・完済予定年齢
・退職予定時の住宅ローン残高

そして、今回キャッシュフロー表へ実際に入力する中心となる数字は、

「各年の年間返済額」

です。

ここまで入力できれば、住宅ローンについてはひとまず完了です。

住宅ローンは「単独」で考えないことが大切

住宅ローンを考えるとき、多くの方は住宅ローンだけを見てしまいます。

しかし、50代からのライフプランでは、

住宅ローン

教育費

退職金

年金

老後生活費

金融資産残高

を一緒に見る必要があります。

例えば、住宅ローンが70歳まで残っていたとしても、十分な金融資産と年金収入があれば問題にならないこともあります。

逆に、65歳までに住宅ローンを完済できても、そのために退職金をほとんど使ってしまえば、老後資金が不足する可能性があります。

このような判断をするために作っているのが、キャッシュフロー表です。

今は結論を急がず、まず現在の住宅ローンを正確に入力しておきましょう。

次回は教育費を入力します

次回は、

「第9回 教育費を入力しよう」

です。

お子さんがいる家庭では、住宅ローンと並んで大きな支出となるのが教育費です。

特に50代では、

「住宅ローン返済+大学の教育費」

が重なる家庭もあります。

教育費についても、まずは現在想定している進学コースをもとにキャッシュフロー表へ入力していきます。

住宅ローンと教育費が入ると、将来どの時期に家計負担が大きくなるのかが、少しずつ見えてきます。